どんなお仕事をされていますか。
僕はもともとプロダクトデザイナーで、主に家電メーカーの製品開発やデザインコンセプトを作るお手伝いをしてきました。現在は家電だけではなく幅広い業態のクライアントと一緒に、デザイン戦略構築や研究活動推進、組織のデザインなどにも取り組んでいます。
どういった場面で手書きをしますか。
基本的には、打ち合わせの内容やアイデアを手書きでメモしています。製品開発の場であればクライアントに「こんなイメージでしょうか」と聞きながら、議論のネタになるようなポンチ絵(概略図、構想図)を描くことも。会議が終わると、自ら振り返りながら要点を図式化したり、ステークホルダーの関係性を書き出したりします。これが次の資料の下書きになることもあります。
クリップボードにA4サイズの紙をはさんで使っています。
会議室だけではなく、フィールドワークとして現場でブレストするシーンも多く、ボードであれば立ったまま書くことができます。書いた紙は抜き取って、プロジェクトごとのフォルダに入れておきます。
ほかにもトラベラーズノートを10年以上使っています。ポケットに入るサイズで使い勝手がいいので、状況に応じて使い分けていますね。
デジタルツールは使いますか。
もちろんiPadもPCも使いますよ。PCで作ったほうが早いですし。カレンダーをデジタルで管理しはじめた頃に、手書きでメモを取らなくなったことがあります。でもなんだか物足りなくなって、しばらくしてまた手書きをはじめたんです。仕事柄手を動かすことに慣れているのと、手書きのライブ感が好きなんだということを再認識しました。書く人の熱量や想いが出るので、デジタルは便利ですが、アナログの魅力や良さも忘れたくないんです。
好きな書き味にカスタマイズ
ペンケースの中身を見せていただきました。
持ち歩いているのは、ほとんどフリクションペンです。クライアントと対話しながら、その場で書いたり消したりすることが多いので。
フリクションペンのリフィルも入っています。
よく使うからインクがなくなるのも早い。色は黒かダークブルー、強調する時に赤で書くくらいで、見返しやすくするためにたくさん色を使うことはないですね。太さは0.5と0.7を両方用意して、気分によって変えています。
「ラミー」のペンも数本あります。
メモ用ではなく、きちんとした書類に使うためのペンです。ドイツの実直なデザインが好きなのですが、書き味は日本製が好きなので、ペンの規格に合うリフィルをネットで探してカスタマイズしています。
自分に合うものを探し続けたい
「大人のかく力テスト」の結果、総じて能力値のポイントが高かったです。
まず、こういうテストがあるのがおもしろいと思いました。個人的に一番納得したのが、「筆記ナルシズム度」です(笑)。決して上手いわけではないけれど、自分が書いた字を見返すと個性が出ているので愛着があるし、自分の字が好きなんだな、ということをこの結果で実感しました。だから手書きをしているんだな、と。
「紙&筆記具 オタク度」も高いですね。
文房具を買う時は、いろいろ見て試して吟味します。自分に合うものを探しながら悩むのはとても楽しい時間。気軽に手に入れられるものが多いので、衝動買いも許されますし(笑)。
小澤さんにとって手書きとは。
手書きは対話のための方法です。自分と他者だけではなく、書いた時の自分とそれを見返した時の自分自身との対話でもありますよね。それをより円滑に進めるためのツールとしてペンやノートが存在する。だから、これからも自分に合うものを探し続けていきたいです。