どんなお仕事をされていますか。
メインは刺繍で作品を作ることで、自主的に作りたい作品や、個人や企業から依頼されたクライアントワークを手がけています。書籍も作りますし、最近はメーカーの商品やウェブサイトなどの監修をすることも増えてきました。
刺繍を始めたきっかけは。
私が小さい頃から、母が洋裁も刺繍も何でも作る様子を見てきました。デザインの勉強をするために美大に入りましたが、一生続けられる仕事を探すなかで自分のペースに合っている刺繍に自然にたどり着いた、戻ってきたという感じです。
どんな刺繍を作っていますか。
学生時代から文字やパターンが好きで、それを刺繍にすることが多いですね。これまであったものをなぞるのではなく、皆さんが見たことのない刺繍を作りたいと思っています。
ずっと使っていて、手に入りやすいものを
仕事で手書きをするのはどんな時ですか。
打ち合わせの時は、基本的に手書きでメモをとります。街でスケッチをしたり、刺繍の図案を考えたり、布に下絵を写す時もほぼすべて手書きですね。
どんな紙に手書きをするのでしょう。
スケッチブックの一種、クロッキー帳です。打ち合わせのメモもスケッチもこの一冊に書いています。ほかにもメールオーダーを受けた時に要点を書き出したり、気になる看板や壁紙など、街を歩いていて見つけたモチーフをスケッチしたりもします。
いつからクロッキー帳を使っているのですか。
美大受験のために予備校に通っていた時からずっとですね。私の字はとても小さいので、だいたい1年に1冊くらい。たまに見返すこともあるので、今までのクロッキー帳はすべて保管してあります。
筆記具は何を使っていますか。
クロッキー帳に書く時は極細のゲルボールペンです。0.28mmという極細のペンは細かい刺繍の仕事にはぴったりですし、自分の字に自信がなくてもこれで書くときれいに見える気がするんです(笑)。
刺繍の下絵のためのアタリを書く時は、繰り出し式の鉛芯ホルダーでさっと描いて、イメージが固まったらシャープペンシルで詰めていきます。
下絵を綿布や麻布に写す時はフリクションペンを使います。細かい絵でも写しやすいのと、このインクは熱で消えるのでドライヤーで簡単に絵を消せるんですよ。
筆記具のこだわりはありますか。
こだわりというのか、とにかく同じものをずっと使っています。それから、どこでも買えるということ。コンビニや近所のお店に行けばいつでも補充できる安心感も大事なんです。
刺繍のために必要な手書き
「大人のかく力テスト」をやってみていかがでしたか。
「紙&筆記用具 フェチ度」が高いのはなんとなくわかりました。紙に刺繍することもあるので、紙屋さんでいろんな紙を見ますし、ざらざらした紙を触るのも好きなので。
手書きに対する意識は変わりましたか。
刺繍という仕事のために、たくさん手書きをしていることがわかっておもしろかったです。確かに、打ち合わせの要点を書き出してからスケッチをしますし、書籍の制作や雑誌の連載などで刺繍を作る時もまずはイメージするキーワードを書き出します。何か思いついたら、忘れないうちに必ず書き留めますし。手書きというのは、自分の頭の中を整理するのに必要なプロセスなんだなと改めて知ることができました。