2022.04.13
資格の勉強、それぞれの実践談~タイプが異なる5人に聞いてみた(シリーズ資格の勉強 中編)
コロナ禍でできたおうち時間を資格取得やスキルアップのための勉強に充てようと思ったけれど、なかなか続かない...そのようなお悩みを持つ方に少しでもヒントになればとお届けしている「シリーズ 資格の勉強」。2回目の今回は、実際に資格取得にチャレンジした社員の経験談から、勉強法やモチベーション維持のヒントを探ります。
コロナ禍でできたおうち時間を資格取得やスキルアップのための勉強に当てたいと思う人が増えています。
しかし、同時に、どうしたら効率的に勉強できるか、どのような自分にとってどのような勉強法がよいかが見えずに、「勉強が続かない」という悩みをもつ人も増えています。
前回は資格のための勉強をしてきた社員25名のアンケート結果から、勉強法や時間の作り方についてご紹介しました。今回からは、アンケート回答者5名へのインタビューによるより具体的な実践談をご紹介します。
この回では、まずは3名の実践談をご紹介します。
瞬発力と集中力を武器に
Aさん(30代) 取得した資格:保育士 |
日頃は全国の官公庁向けに空間提案やオフィス家具の販売を担当するAさんは、プライベートでは2児の母。仕事もプライベートも充実して多忙な毎日を送りながら、昨年1月、独学で保育士試験に見事合格しました。
「会社員である自分に特に不満はないのですが、だからこそ、もう少し社会に目を向けて、社会に貢献できることを探したい」と思ったのがきっかけでした。
思い当たったのは、自身が出産後、仕事復帰のために行った「保活」。保育士という仕事がいかに地域に暮らす人にとって不可欠で、尊敬すべき仕事であるかを痛感したといいます。
折しもコロナ禍。在宅勤務で生活のコントロールがしやすい今こそチャレンジする好機ではないかと考えたAさんは、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに勉強をスタートしました。
とはいえ、朝・晩は子どもの世話や家族との時間を優先するため、自分の勉強時間を確保することはできません。
勉強時間は主にお昼休み中の10分ほど。「自分にはほとんど勉強する時間がない、という前提のもと、敢えていろいろ手出しせず、同じ参考書を何度も何度も読みました」。参考書の重要な箇所や覚えなければいけないポイントには、インデックスシールを貼って、いつでも振り返れるようにしました。「参考書にたくさんインデックスが付くと、自分の頑張りが目に見えて、モチベーションが上がりました」。
合格後も保育士として働いているわけではないAさんですが、コクヨの中で行われる自らの学びをシェアするイベントでは「子どもの権利」をテーマに講師役として活躍。保育士資格は、毎日の仕事では接することがない部門を超えた新たな人脈の開拓にも一役買っているのだとか。
「資格を取りたいと思ったらすぐに行動に移すこと。受験日をゴールに定め、瞬発力でやり切れたことは私にとっては良かったです」。
地に足を付けて一歩ずつ
Bさん(20代) 取得した資格: |
Bさんは、オフィス家具の開発業務を経て、現在は空間設計のチームに所属。仕事に少し慣れてきた入社2年目の頃から、秘書検定、カラーコーディネーター検定、テキスタイル検定、エコ検定など、いろいろな検定試験に挑戦して、合格してきました。
「仕事に慣れて、少し落ち着いた頃に、大学時代の友人が社会人になってもしっかり将来を見据えて勉強し続けているのを知って、自分もこうしてはいられない、と思ったんです」。
そこで、当時担当していた業務に比較的直結しやすいカラーコーディネーター検定やテキスタイル検定などにチャレンジし始めました。秘書検定は、たとえば上司と共にお客様先に同行したりする際に、正しく、気持ちのよい振る舞いができる人になりたいという気持ちが動機になりました。
基本的な勉強スタイルは参考書を読んで、まとめノートをつくり、問題集を解く、というもの。
「参考書にラインマーカーを引くだけでは頭に入らないんです。重要なことをノートにまとめて、見返すことで覚えていきました」。
「ノートは色を使いすぎないようにしています。色使いのルールを自分なりに決めて、少ない色数でやった方が覚えられます」
問題集が充実している秘書検定は、演習問題の回答をノートの左ページにタテに記入。間違えた問題のみ、その横に回答をメモ。さらに右ページにポイントを整理する、という方法を採用。
「ノートの使い方としてはもったいないんですが、何回もやって、自分の正答率が上がっていくごとに徐々にスカスカになるノートを見るのが、ちょっと嬉しかったですね」。
(写真)秘書検定 演習回答を書いていたノート。回を重ねるごとに少しずつ間違いが減ってノートの白い部分が目立つように
コツコツと、着実に階段をのぼるBさんに、「とはいえ、仕事が忙しくて勉強するのが辛い日もありませんか?」という質問をしてみると、「今日の分をお休みする代わりに土曜日に勉強する、ということでもいいかと、自分に問いかけてみて納得できるようなら、その日はお休みにします」。
目標からのバックキャストと正答数の見える化で戦略的に挑む
Cさん(40代) 取得した資格:ファイナンシャルプランナー3級 |
コクヨのデジタルトランスフォーメーションを推進する部門に所属するCさんの勉強法は、とても戦略的で合理的なものでした。
親戚が生命保険の仕事していることや、自身も株式投資をしていることで、数年前からファイナンシャルプランニングに興味を持っていたCさんですが、当日は仕事が忙しく勉強時間を工面できなかったといいます。2年前に自宅を購入し、ローンを組んだのを機に再び意欲を持ち、コロナ禍と転職活動中だったという状況にも助けられながら、2021年9月にファイナンシャルプランナー(FP)3級試験にチャレンジし合格しました。
勉強期間は約3ヵ月。基本的には夕食後、子どもたちが寝てからの時間を使って参考書などで勉強し、それ以外は移動中や隙間時間に過去問アプリで問題を解くことを繰り返しました。
「ネットを調べれば、資格取得のために必要な勉強時間はどれくらいか、いろいろな情報が出ています。私の場合、FP3級に必要な勉強時間を、試験日までの期間で割り算して、自分が一日にどのくらい勉強をする必要があるかをまず計算しました」。その結果をもとに勉強ルーチンを組み立てたことで、生活のリズムも変わったといいます。
もう一つ、Cさんのモチベーションの源泉になったのは、「自分自身の現在地を見える化」。
具体的には過去問正答率がアプリに記録されるため、それを確認しながら、苦手分野に重点的に時間配分をすることで、着実に実力が上がっていることを目で見て感じることができたそうです。
「資格取得は自分の学んできたことを人とコミュニケーションする時に分かりやすいですよね。達成した証になるので。やろうと決めたタイミングで戦略的に挑んだことがよかったと思います」。
現在は転職後まだ間もないため、しばらくは仕事優先でいきたいそうですが、少し落ち着いたらFP2級にも挑戦したいとのこと。
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こうしてみると、学んだ内容が違うだけではなく、人によって学び始めるきっかけや勉強へのスタンスもさまざまですね。とはいえ、自分がやるとしたらどういう方法がいいかな、自分が続けられないのはどういうところがまずかったかな、といった振り返りの参考にぜひ。にわかに、何度も挫折している勉強を再開してみよう!と思い始めた筆者です(単純!)。
さて、後半も今回同様、2名の実践談を、本人へのインタビューに基づきお届けします。お楽しみに!
インデックスシール
青枠・赤枠があらかじめ印刷されている強粘着タイプ。用途としては大量の資料整理や提出資料に使われることが多いですが、参考書の重要箇所や弱点ポイントをすぐ開けるように貼るのもおすすめです。
キャンパスノート
1975年発売。学生・社会人を問わず多くの方々に親しまれています。手に入りやすい手軽さから、オトナの勉強ノートにもおすすめです。
2トーンカラーマーカー〈マークタス〉
まとまり感がでる組み合わせの2色。明度差・彩度差で情報に強弱がつけられるので、ノートや参考書に使った際にもすっきり見えます。グレータイプもあります。